製造後混入か、いたずらも視野 給食パン、爪楊枝混入から1カ月 金沢、野々市

三共フーズ本社工場に立ち入る捜査員=2月3日、白山市鹿島町



三共フーズ本社工場に立ち入る捜査員=2月3日、白山市鹿島町

 金沢市野々市町の三小学校で三共フーズ(白山市)提供の給食パンに爪楊枝(つまよ
うじ)が相次いで混入した事件は、二日で最初の発覚から一カ月を迎える。石川県警合同
捜査班は、いずれもパン製造後から児童が口に運ぶまでの間に何者かが故意に混入したと
の見方を強め、いたずらの疑いも含めて原因特定を急いでいる。一方、金沢市野々市町
などの小中学校ではパン給食が中止されたままで、児童生徒や保護者、学校教育関係者の
不安は増している。
 最初の爪楊枝混入は二月二日の金沢市上小で三年生男児がちぎったパンの中から出て
きた。昨年四月に同市城南中で給食パンから爪楊枝が見つかって以降、同市内では大半の
小中学校がパン給食を一時中止し、一月二十六日に再開されたばかりだった。
 その後、同市内では二月五日に味噌蔵町小で四年生男児がパンを食べた際、爪楊枝一本
が見つかり、再び三共フーズ提供の給食パンは使用停止となった。
 野々市町菅原小では同十八日、四年生女児がいったん口にしたパンの中から爪楊枝の先
端部分(長さ約二センチ)が見つかった。三件のパンとも三共フーズ製造だったことから
、県警は二月十九日、捜査一課、金沢中、松任署の合同捜査班を設置、偽計業務妨害の疑
いで関連も含め本格的に捜査に乗り出した。
 いまだ原因が特定されていない城南中で昨年、見つかった爪楊枝にはパン生地が付着し
ており、製造過程での混入の可能性も指摘されていた。しかし、今回の三件の混入はいず
れも爪楊枝にパン生地が付着していなかった。
 さらに、三共フーズでは昨年の混入後、工場内にエックス線検知装置や防犯カメラを設
置するなど監視を強化しており、合同捜査班は「パンが製造された後に混入された可能性
が大きい」(捜査関係者)との見方を強めている。
 合同捜査班は製造後から児童の口に入るまでの過程に関係したすべての人物に事情を聴
いている。児童から話を聴く際は、保護者や教諭が同席し、複数ごとに慎重に行っており
、「成人相手とは勝手が違い、問い詰めて聴くことはできない」(捜査関係者)と慎重に
事情聴取を進めている。
 また、県警科学捜査研究所で、混入したそれぞれの爪楊枝や一学級分のパンが詰められ
たビニール袋などの鑑定を急いでいる。捜査関係者によると、昨年の城南中の事件を含め
四本の爪楊枝はそれぞれ別の種類で、いずれのビニール袋にも穴は開いていないという。

 相次ぐ爪楊枝の混入を受け、金沢市教委は三共フーズ製造のパンを使用していた六十九
小中学校で給食を米飯に切り替えた。野々市町教委は町内の小中学校七校でパン給食を中
止。同社製造のパンを使用している小松市津幡町の各教委も使用を一時停止した。小松
市は別の業者からの納入を決め、二日から再開する。
 製造元の三共フーズでは昨年の混入後、監視体制を強化し、金沢市内の二校で見つかっ
た後も防犯カメラの台数を増やすなどしており、山下正幸社長は「製造段階での混入はあ
り得ない」と強調する。同社では、金沢市野々市町などのパン給食停止に「採算が取れ
なくなった」(山下社長)状況で、従業員男性は「工場のみんなが困惑している」と不安
を隠せない。