入湯税目減りに危機感 県内温泉地に不況の影 観光客減、一部では税滞納

加賀温泉郷への玄関口であるJR加賀温泉駅。金融危機以降、各温泉地への入り込みが減少した=加賀市



加賀温泉郷への玄関口であるJR加賀温泉駅金融危機以降、各温泉地への入り込みが減少した=加賀市

 景気の大幅悪化の影響が、県内温泉地にじわりと現れている。昨年十二月末時点で、加
温泉郷では片山津を除き、観光客数は軒並み前年同期比一割減。これに伴い、温泉所在
地の自治体に入る入湯税の目減りは避けられない情勢で、一部では納付の遅れも出ている
。各自治体とも「新年度以降も観光客の落ち込みが続けば、滞納が増える恐れがある」と
、身構えている。
 加賀市は一人一泊につき百五十円、日帰り客一人につき五十円の入湯税を課し、温泉旅
館が入浴客から徴収、月ごとに市に納付する。入湯税は納税者が入浴客である分、徴収率
は比較的高く同市の昨年度決算では98・8%だった。
 山代、山中の両旅館組合によると、昨年秋のリーマン・ショック以来、宿泊客は前年同
期と比べ約一割減。「法人関係の団体客がめっきり減った」(旅館経営者)という。
 一方、片山津は、昨夏開業の大江戸温泉物語ながやまの集客力が大きく、昨年末時点で
前年度比140―150%と大幅の伸び。このため、これまでに市に入った入湯税は、昨
年同期を1%程度上回った。ただし、「一、二カ月ほど納税が順繰りに遅れるケースが増
えている。新年度以降の経済情勢が心配だ」(税料金課)という。
 和倉温泉がある七尾市では、以前から資金繰りに困った旅館が五月の大型連休の稼ぎで
一括納付するのが常態化していた。現在、旅館三軒分計四百七十万円の滞納がある。
 同市は今年度、当初予算より四百万円増の一億三千二百万円の入湯税収入を見込み、「
入浴客から預かったお金であり、運転資金に使い回すのはルール違反だ」(税務課)と、
滞納には厳しい姿勢で臨むとしている。