『原始の音』へ旅 パーカッショニスト 土取利行さん講演

『原始の音』へ旅 パーカッショニスト 土取利行さん講演

 世界的パーカッショニスト土取利行(つちとりとしゆき)さんのトーク&デモンストレーション「縄文・旧石器時代への音の旅」が、金沢市大和町金沢市民芸術村アート工房で開かれ、参加者は土取さんの人類の「源音」追求の旅路をたどり、陶製の楽器演奏を体験した。

 土取さんは一九五〇(昭和二十五)年香川県生まれ。前衛ジャズのドラマーとして注目され、音楽家坂本龍一さんらと活動。渡米後、音楽の根源的探究を続け、七六年から三十年余、フランスでピーター・ブルック国際劇団の音楽監督として活躍。芸術村での講演は十年ぶり二回目。

 講演では、フランス・ピレネー山脈の洞窟(どうくつ)に描かれた楽器を演奏する半人半獣壁画と対面した感動を紹介。旧石器時代以来、地球規模で奏でられ始めた音楽の源流について語った。

 ワークショップには男女約三十人が参加。土取さんを取り巻き、全員が小枝を手にして、決まったリズムで陶楽器を打ち鳴らす原始的なアンサンブルに心ときめかせた。

 土笛も加わり、金沢美大出身の彫刻家新保裕さんが会場壁面に縦三メートル、横六メートルの巨大な牛の絵を仕上げるクライマックスを盛り上げ、人類の「源音」を体感していた。 (遠田英樹)