水害乗り越えカラー出荷 金沢の夫婦 中学生協力、泥取り除く 「感謝伝えたい」

カラーの出荷準備を進める荒井久善さん(右)と妻の邦子さん=金沢市袋板屋町



カラーの出荷準備を進める荒井久善さん(右)と妻の邦子さん=金沢市袋板屋町

 昨年七月の浅野川はんらんで被災した金沢市袋板屋町のハウスで、災害を乗り越えたカ
ラーがかれんな花を咲かせた。苗の半数が腐敗し、地下水をくみ上げるパイプが流される
など甚大な被害を受けたが、地元中学生らの助けを受けて復旧。二月下旬には出荷にこぎ
つけた。生産者の荒井久善さん(69)、邦子さん(65)夫婦は、「花を通して、助け
ていただいた方々に感謝の気持ちを伝えたい」と、摘み取り作業に汗を流している。
 荒井さん夫妻は十年前に、所有する同町の田んぼにわき出る地下水を利用しカラーの水
耕栽培を始めた。市内唯一のカラー生産者で、夫妻のカラーは純白で花持ちがいいと市場
で高い評価を得ている。
 今年度に出荷する予定だったカラーの苗が十センチほどに成長した昨年七月、ハウスの
すぐ近くを流れる浅野川がはんらんした。ハウスの中に泥水が流れ込み、苗は約三十セン
チの土砂で埋もれた。犀生中の生徒らボランティアの手を借りて土砂をハウスの外に出し
たが、半分以上の苗は腐敗してしまった。
 夫妻は地下水をくみ上げるパイプを修理し、十月に球根を植え替えるなどして栽培を続
けた。植え替えたカラーは例年より、栽培期間が短いため、平年の長さ(約一メートル)
より短い三十−五十センチを主に出荷せざるを得なくなっている。現在は週一回、二口町
の金沢総合花きに卸しており、量も平年の十分の一になっている。
 荒井さんは「出荷をあきらめなくてよかった。これからもカラーを多くの人に届け続け
たい」と笑顔で話している。