「石川の善意忘れない」 コソボのネジール君、北國新聞社に感謝の手紙

義眼を新調し、バスケットボールを楽しむネジール君=昨年12月、金沢市十一屋小



義眼を新調し、バスケットボールを楽しむネジール君=昨年12月、金沢市十一屋小

 昨年十二月に再来日し、金大附属病院で義眼を新調したアルバニア男児ジール・シ
ニック君(12)=コソボ共和国在住=から二十九日までに、感謝の手紙が北國新聞社
届いた。石川での出会いや人々の善意に触れ、「決して忘れることはありません」とつづ
ったネジール君。「バスケットボールもできるし、ちゃんと走れるようにもなった」と喜
びを素直に表現し、家族や友達に囲まれ、コソボで元気に暮らしている様子を伝えている

 手紙は、在金沢アルバニア共和国名誉総領事の飛田秀一北國新聞社社長あてに届いた。

 心待ちにしていた再来日が実現した際、涙を浮かべて「夢のようです」と語ったネジー
ル君は、今回届いた手紙でも真っ先に、「日本に行く機会を与えてくれて心の底から感謝
しています。長い空の旅も僕や両親にとっては楽しいものでした」と記している。
 右目に新しい義眼を入れた際に併せて行った再診で、恐れていた左目のがんの再発がな
いと分かったことも、ネジール君一家にとっては大きな喜びだった。手紙では「病気がす
っかり治ったことを知り、僕も両親もとても幸せな気持ちになりました」と振り返ってい
る。
 金沢でつくったたくさんの思い出も手紙に書き添えた。十一屋小を訪れ、同じ十二歳の
六年生児童らと交流したことがとりわけ印象深く、生まれて初めて見た海も「感動的だっ
た」という。
 最後は「僕の目が見えるのは石川の皆さんのおかげです」と謝意を示し、「僕の目は今
も日本を見続けています。日本は世界で一番素晴らしい国です」と結んでいる。
 目のがん「網膜芽細胞腫(もうまくがさいぼうしゅ)」に侵されていたネジール君は一
九九九年、コソボ紛争を逃れて金大附属病院で治療を受けた。しかし、成長に伴って、右
目の義眼が不具合となり、生活に支障を来すようになったため、昨年十二月、北國新聞社
の受け入れで再来日した。同病院で義眼を新調し、温存治療した左目の診察も受けた。