「お金払ってでも受けたい」 「神子原研修」に1000人

足りなくなった有料の資料を増刷する羽咋市一・五次産業振興室の職員=同市役所



足りなくなった有料の資料を増刷する羽咋市一・五次産業振興室の職員=同市役所

 良質コシヒカリ「神子原米」を核とした地域おこしに取り組む羽咋市神子原地区を訪れ
る今年度の視察者が三十日までに、千人を突破した。案内する同市は資料代として一人千
円を徴収しており、今年度の資料代も百万円を超えた。農水省のホームページで「お金を
払ってでも受けたい研修」とPRされ、視察者は厳冬期も一向に減る気配がないようだ。

 視察は現地の神子原公民館を中心に行われる。市一・五次産業振興室の職員が「神子原
地区総合戦略 過疎・高齢化限界集落だからできる協働作戦−ブランド米づくりへの道の
り」と題し、約五十ページの資料を使って説明する。農産物直売所や農家カフェも見て回
る。
 視察の人気は、地域おこしの戦略が包み隠さず披露されることにあるという。同地区で
は四年前から▽ローマ教皇への献上など神子原米のブランド化▽空き農家・農地情報バン
クによる就農者の呼び込み▽人工衛星を使った米の食味判定―などの戦略を次々に繰り出
した。その結果、高齢化率が低下し、月額三十万円を売り上げる農家を生みだし、同地区
の農産物直売所では年間六千八百万円を売り上げている。
 視察には、北海道から鹿児島県まで全国の農業団体や行政・議会関係者が訪れ、今年度
は三十日までに千三十四人を数えた。資料は二〇〇七(平成十九)年十一月から有料化し
たが、相次ぐ視察の勢いは止まらなかった。
 同市は、視察者に農産物直売所での土産物購入や市内での昼食、宿泊も勧めている。三
十日には、資料二百五十部二十五万円分を増刷した。同室の高野誠鮮総括主幹は「今後も
羽咋で一番厳しい環境の農村から日本で一番大きな提言をしたい」と意気込んでいる。