裁判員制度、大丈夫? 金沢弁護士会、対象事件の登録3割 負担大きく敬遠

研修会で法廷弁護技術の向上に努める弁護士=2008年11月、金沢地裁



研修会で法廷弁護技術の向上に努める弁護士=2008年11月、金沢地裁

 五月に始まる裁判員制度の対象事件で国選弁護を引き受ける金沢弁護士会の弁護士が三
割弱にとどまっていることが二十八日、日本司法支援センター石川地方事務所(法テラス
石川)の調べで分かった。一方、金沢地裁が二十七日に予定していた市民対象の裁判員
明会には一人も参加せず、市民の関心の薄さが浮き彫りになった。スタートを目前に控え
た制度の円滑な導入に向け、県内の法曹関係者は頭を悩ませている。
 金沢弁護士会所属の弁護士は、希望に応じて法テラス石川と契約し、刑事裁判の被告と
起訴前の容疑者、裁判員制度対象事件の三種類の名簿に登録されている。
 法テラス石川によると、被告の国選弁護を引き受ける契約を結んでいる同弁護士会の弁
護士は百五人とほぼ全員で、容疑者の国選弁護も九十二人と契約率は高い。一方、裁判員
制度対象事件では三十四人と会員百十六人の約29%にとどまる。
 同弁護士会などによると、裁判員制度対象事件の公判は連日開かれる上、法律の素人で
ある裁判員に理解される弁護技術が求められるため、負担の大きさが敬遠の理由とみられ
る。さらに、検察側は裁判員制度を見据えて大型モニターやIT機器を駆使した立証を進
めており、「従来と大きく異なるため、制度が軌道に乗るまで様子を見る弁護士も多いの
ではないか」(法曹関係者)との声もある。

 同弁護士会は三月に同地裁で法廷弁護技術の研修会を開き、冒頭陳述や被告人質問の仕
方などを学ぶ。弁護士会員に幅広く参加を呼び掛け、弁護技術の底上げを図る方針で、西
徹夫会長は「国民に大きな任務を果たしてもらう制度であり、一人でも多くの弁護士が制
度に携わり責務を果たすよう努めたい」と話している。