擬餌針作って笑顔釣る 小松の授産施設『九谷の里』

擬餌針作って笑顔釣る 小松の授産施設『九谷の里』

 小松市正蓮寺町の身体障害者授産施設「九谷の里」は、昨年十二月下旬から釣りの擬餌(ぎじ)針作りを請け負っている。不況でほかの仕事が減る中、職員の“営業”が実を結び、獲得しただけに、利用者や職員は「できることを頑張りたい」と作業に励んでいる。(増田育子)

 ペンチを使って二ミリほどのねじをつなぎ合わせ、小指の半分ほどの大きさの針を作る。手先が器用な利用者三人が担当し、残りの人が専用のパッケージに袋詰めする。

 慣れないうちは針が指に刺さるなどしたが、練習を重ね、一個を三十秒ほどで完成させられるようになった。これまでに約五千個を仕上げた。利用者の上出康弘さん(37)は「最近やっと覚えた。こつこつ作っていきたい」と笑顔を見せる。

 九谷の里は企業から間仕切り用のポール組み立て作業や、箱折りなどの仕事を受けている。しかし、最近は不景気で仕事のキャンセルや注文の減少が目立つという。

 職員は日ごろ、仕事を探すため電話をかけたり市内外の企業を回ったりしている。擬餌針作りは、加賀市の会社が「九谷の里の利用者が頑張って仕事をしている」といううわさを聞き、依頼してきたという。

 職員の中茂さん(65)は「給料が安い高いにかかわらず、安定して仕事があることが安心感につながる」と話していた。